トップ/吃音コラム/4〜6歳の吃音

4〜6歳で急に吃音が出たら
就学前の対応と入学準備

年中・年長になって急にどもり始めた。来年は小学校なのに、このままで大丈夫?——4〜6歳は吃音の発症が多く、かつ就学というタイムリミットを意識して保護者の不安が最も高まる時期です。この記事では、急に始まる理由、相談の判断基準、就学準備までを整理します。

🐸

✍️ この記事について

Yueru編集部

吃音当事者が運営する、吃音のある子ども向け会話練習アプリ「Yueru(ゆえる)」の編集チームが、自身の経験と公開研究をもとに執筆しています。吃音コラム一覧 →

01「急に始まる」のは普通のこと

吃音の約半数は、ある日突然、前触れなく始まることが研究で知られています。 昨日まで流暢に話していた子が、今朝から「ぼ、ぼ、ぼくね」と繰り返す——保護者が動揺するのは当然ですが、 この「突然の発症」自体は典型的な経過のひとつです。

「下の子が生まれたストレスで」「引っ越しが負担だったのでは」と原因探しをしてしまいがちですが、 現在の研究では、吃音の主な要因は遺伝的・神経学的な体質であり、 環境の出来事は発症のタイミングに関わることはあっても原因ではないと考えられています。あなたの育て方のせいではありません。

参考:Yairi & Ambrose (2005). Early Childhood Stuttering. / 菊池良和『子どもの吃音 ママ応援BOOK』(学苑社)

02様子見でいい?相談すべき?判断基準

4〜6歳の場合、2〜3歳の発症と違って就学までの残り時間を考慮する必要があります。 以下のいずれかに当てはまるなら、就学前に一度専門家へ相談しておくのが安心です。

吃音が6ヶ月以上続いている

自然回復の多くは発症後早期に起こります。半年続いたら「待つだけ」から「相談しながら待つ」へ。

本人が気にし始めている

「なんでぼく、言えないの?」と聞いてくる、話すのを途中でやめる、声が小さくなる——自覚のサインが出たら症状の程度にかかわらず相談を。

難発・随伴症状がある

言葉が出ずに顔に力が入る、手足を動かして言葉を押し出す動きは、進展した吃音のサインです。

年長の秋になった

症状が続いているなら、就学準備(学校への連携・通級の検討)を始めるタイミングです。

相談先は、自治体の発達相談窓口(無料)か、言語聴覚士のいる医療機関です。 詳しくは言語聴覚士への相談ガイドにまとめています。

03園と家庭でできること

この年齢の支援の中心は、訓練ではなく環境づくりです。 幼稚園・保育園の先生にも以下を共有しましょう。

最後まで聞く・先取りしない

時間がかかっても本人の言葉で言い終えさせます。「言えた」体験が積み重なります。

話し方への注文をしない

「ゆっくり」「落ち着いて」「もう一回」はすべて逆効果です。内容に普通に応えます。

友達の指摘・真似に対応する

「なんでそんな話し方なの?」と言われたら、「いろんな話し方があるんだよ」と大人がさらりと返すことで、からかいへの発展を防げます。

発表の機会を奪わない

心配のあまり発表から外すのは回避の学習につながります。本人がやりたがるなら見守りましょう。

04小学校入学に向けた準備(年長の秋〜冬)

症状が続いたまま就学を迎える場合も、準備しておけば心配の大半は防げます。

就学時健診・入学前面談で吃音を伝える

「吃音があります。急かさず最後まで聞いてもらえると話せます」と一言伝えるだけで、入学後の連携の入り口ができます。

ことばの教室(通級)を調べておく

利用するかは入学後に決めてもOKですが、就学相談の時期(秋〜冬)に情報だけ集めておくと選択肢が広がります。

自己紹介の予行演習をしておく

入学直後の「名前と好きなものを言う」場面は最初の関門です。家庭で楽しく練習して「言えた」状態で本番を迎えると、その後の学校生活の自信になります。

「小学生になるんだから、ちゃんと話せないと」と発破をかける

就学をプレッシャーの材料にすると、入学そのものが恐怖になります。「楽しみだね」の文脈を守りましょう。

よくある質問

5歳で急に吃音が出ました。何かきっかけがあったのでしょうか?

吃音は何の前触れもなく突然始まることが珍しくありません。引っ越しや下の子の誕生などと時期が重なることもありますが、それらは「原因」ではなく、もともとの体質(遺伝的・神経学的要因)が表面化したタイミングにすぎないと考えられています。保護者の育て方のせいではありません。

4〜6歳の吃音は自然に治りますか?

幼児期発症の吃音の約7〜8割は自然回復しますが、回復の多くは発症から2〜3年以内に起こります。4〜6歳での発症は就学までの期間が短いため、6ヶ月以上続く場合や本人が気にし始めた場合は、就学前に一度専門家(言語聴覚士・自治体の発達相談)に相談しておくことをおすすめします。

幼稚園・保育園には伝えるべきですか?

伝えることをおすすめします。先生が吃音を理解していれば、「ゆっくり言ってごらん」のような逆効果の声かけや、友達の指摘の放置を防げます。「急かさず最後まで聞いてほしい」「言い直しをさせないでほしい」の2点だけでも伝える価値があります。

就学前に何を準備すればいいですか?

①就学先の小学校に吃音のことを伝える(就学時健診や入学前面談が機会になります)②ことばの教室(通級)の利用を検討するなら秋〜冬に申請を始める ③家庭で「話すのは楽しい」という土台を作っておく、の3つです。入学後の音読や自己紹介は吃音が出やすいため、事前の連携が安心につながります。

ひらがなが読めるようになってから吃音が悪化した気がします。

文字を読む場面(音読)は「決まった言葉を言い換えられない」ため、吃音が出やすいことが知られています。読む練習を嫌がる場合は無理をさせず、親子で一緒に声を合わせて読む方法(ユニゾン読み)から始めると負担が減ります。

就学前の今こそ、「話すのは楽しい」の貯金を。

Yueruは吃音のある子どものための無料練習アプリです。ひらがなが読め始めた年長さんから使えます。あいさつや自己紹介など入学後に出会う場面を、台本つきで毎日5分、楽しく練習できます。

無料でアプリを試す

関連記事

← 吃音コラム一覧に戻る2〜3歳の幼児の吃音:様子見か相談かの判断軸小学生の吃音 完全ガイドことばの教室とは:申し込み方法と流れ吃音は治る?「治し方」について正直に解説