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小学生の吃音 完全ガイド
接し方・学校対応・家庭でできること

小学生は、吃音のある子どもにとって大きな転換期です。音読や発表など「人前で話す場面」が一気に増え、友達の目も気になり始めます。この記事では、低学年・高学年それぞれの特徴と、親・学校・家庭でできる具体的な支援を網羅的にまとめました。

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✍️ この記事について

Yueru編集部

吃音当事者が運営する、吃音のある子ども向け会話練習アプリ「Yueru(ゆえる)」の編集チームが、自身の経験と公開研究をもとに執筆しています。吃音コラム一覧 →

01小学生期の吃音は何が変わるのか

幼児期の吃音と小学生の吃音の最大の違いは、本人が「自分の話し方」を意識し始めることです。 幼児期には無自覚だった子も、小学校に入ると「みんなと違う」「また詰まったらどうしよう」という予期不安を持ち始めます。

同時に、学校生活には吃音が出やすい場面が数多くあります。音読、日直の号令、健康観察の返事、授業中の発表、自己紹介—— どれも「決められた言葉を、決められたタイミングで、みんなの前で」言う場面です。これは吃音のある子にとって最も難易度の高い条件がそろっています。

この時期の支援の目標は「吃音をなくすこと」ではなく、「話すことが怖くならないように守ること」です。 症状の波に一喜一憂するより、本人の自信と話す意欲を育てることに集中しましょう。

02低学年(1〜3年生)の特徴と対応

低学年はまだ吃音への自意識が比較的薄く、支援の効果が出やすい貴重な時期です。 この時期に「話すのは楽しい」という土台を作れるかどうかが、高学年以降を大きく左右します。

家庭を「どんな話し方でもいい場所」にする

急かさない・遮らない・最後まで聞く。家が安全基地であれば、外でつらいことがあっても回復できます。

担任の先生に早めに伝える

低学年の担任は毎日長時間子どもと過ごします。音読や日直での配慮を相談しておくと、失敗体験を未然に防げます。

毎日の発話練習を習慣にする

本人が楽しめる形で、毎日5分の「言えた」体験を。ゲーム感覚で続けられる方法が向いています。

03高学年(4〜6年生)の特徴と対応

高学年になると自意識が強まり、吃音を「隠す」行動が増えることがあります。 言いにくい言葉を別の言葉に言い換える、発表で当てられないように目を伏せる、電話に出ない—— 一見うまく対処しているように見えますが、回避が増えるほど話すことへの恐怖は強まっていきます。

本人の気持ちを聞く時間を作る

「最近、話すことで困ってることある?」と折に触れて聞ける関係を保ちましょう。問い詰めず、話してくれたら否定せずに聞きます。

回避に気づいても責めない

「逃げちゃだめ」は逆効果です。回避はつらさのサイン。安心して話せる場面を増やすことが先です。

本人と一緒に配慮を決める

学校への配慮願いも、高学年では本人の意向確認が必須です。「クラスで吃音の話をしてほしいか」は子どもによって正反対です。

04親がやってはいけないこと

善意からの行動が逆効果になることがあります。以下は吃音支援の専門家が共通して挙げるNG対応です。

「ゆっくり話して」「落ち着いて」と言う

吃音は焦りが原因ではありません。話し方への指摘はすべて「今の話し方はダメ」というメッセージになります。

言葉を先取りして言ってあげる

「最後まで自分で言えた」という体験を奪ってしまいます。時間がかかっても待ちましょう。

吃音が出た回数を数える・記録を本人に見せる

症状への注目を強めます。記録は保護者の中に留め、受診時の資料として使いましょう。

「練習しないと治らないよ」と練習を強制する

練習が罰になった瞬間、効果は失われます。練習は楽しいから続くものです。

05学校との連携のしかた

小学生の吃音支援は、家庭だけでは完結しません。1日の大半を過ごす学校での体験が、自信にも傷にもなります。 担任の先生への伝え方は「診断名」より「具体的にしてほしいこと」を中心にすると伝わりやすくなります。

音読は「一人ずつ」以外の選択肢を相談する

ペア読み・全員での一斉読みでは吃音が出にくいことが知られています(斉読効果)。

日直の号令・健康観察の返事に代替案を用意する

言いやすい言葉への変更や、挙手で代えるなどの方法があります。

からかいが起きたときの対応を事前に確認する

「もし起きたら教えてください、家庭でもフォローします」と伝えておくと、先生も動きやすくなります。

具体的な文例は「担任の先生への伝え方(文例テンプレつき)」にまとめています。

06家庭でできる毎日の練習

小学生の家庭練習の基本は、「毎日5分、プレッシャーゼロで声を出す」ことです。 週1回長くやるより、短くても毎日続ける方がはるかに効果的です。

台本つきの会話練習

「何を言うか決まっている」状態は言葉が出やすく、成功体験を作りやすい方法です。

絵本・教科書のユニゾン読み

親子で声を合わせて読むと吃音が出にくくなります(合唱効果)。音読の宿題対策にもなります。

夕食時の「今日の楽しかったこと」

急かさず最後まで聞く、それだけで立派な練習です。

参考:Guitar, B. (2019). Stuttering: An Integrated Approach to Its Nature and Treatment. / 菊池良和『子どもの吃音 ママ応援BOOK』(学苑社)

よくある質問

小学生の吃音は自然に治りますか?

幼児期に発症した吃音の約7〜8割は自然に改善するとされていますが、小学生まで続いている場合、自然回復の割合は下がっていきます。「治す」ことだけを目標にせず、話すことへの自信を守り育てることが、この時期の最も大切な支援です。気になる場合は言語聴覚士への相談をおすすめします。

小学生の吃音にやってはいけない対応は?

「ゆっくり話して」「落ち着いて」「深呼吸して」といった話し方へのアドバイス、言葉の先取り、言い直しの要求は逆効果です。吃音は本人の努力不足ではないため、話し方を直そうとする働きかけは「自分の話し方はダメなんだ」というメッセージとして伝わってしまいます。

学校の先生には伝えるべきですか?

伝えることを強くおすすめします。音読・日直・発表など、小学校には吃音が出やすい場面が多くあります。担任が吃音を理解しているかどうかで、子どもの学校生活の安心感は大きく変わります。本人の気持ちを確認したうえで、対応してほしいことを具体的に伝えましょう。

友達にからかわれた場合はどうすればいいですか?

まず本人の気持ちを聞き、「からかう方が間違っている」と明確に伝えてあげてください。そのうえで担任に事実を共有し、クラスでの対応を相談します。からかいを放置すると、話すこと自体の回避につながるため、早めの対応が重要です。

家庭ではどんな練習をすればいいですか?

毎日5〜10分、プレッシャーのない環境で「声を出して言えた」という体験を積み重ねることが基本です。台本のある会話練習、絵本のユニゾン読み、夕食時の雑談などが取り組みやすい方法です。流暢に言えたかどうかは評価せず、「話してくれたこと」を受け止めましょう。

小学生の毎日5分に、Yueruを。

Yueruは吃音のある小学生のために作られた無料の練習アプリです。図書館・朝のホームルーム・忘れものを先生に伝える——学校生活そのままの場面を、台本つきで毎日5分練習できます。ひらがな表記で、子どもが一人で使えます。

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