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吃音と学校生活
先生・保護者ができるサポートと配慮のポイント

学校は吃音のある子どもにとって、毎日が「挑戦」の連続です。音読、発表、友達との会話——普通のことが大きな壁に感じられることがあります。でも、正しいサポートがあれば状況は変わります。先生と保護者が連携して子どもを守る方法を、具体的に解説します。

この記事の内容

  1. 1.吃音のある子どもが学校で困りやすい場面
  2. 2.吃音が学校生活に与える統計的影響
  3. 3.担任の先生へ伝えたいこと——具体的な伝え方
  4. 4.先生への手紙テンプレート
  5. 5.合理的配慮を求める方法
  6. 6.音読・発表での具体的なサポート方法
  7. 7.からかい・いじめへの3ステップ対応
  8. 8.学年別のポイント(小学校・中学・高校)
  9. 9.よくある質問(7つ)

1. 吃音のある子どもが学校で困りやすい場面

吃音のある子どもが特に難しいと感じる場面を知っておくことで、保護者も先生も事前に対策を立てやすくなります。

📖 音読・朗読

難易度:

全員の前で声を出す場面。「うまく読めないかも」という緊張が吃音を増やすことがあります。順番が来るまで「次は自分だ」という予期不安が積み重なります。

🙋 授業中の発表・発言

難易度:

「答えはわかっているのに手が挙げられない」という状況が続くと、自己肯定感が下がります。知識があるのに「また詰まる」恐怖で黙ってしまいます。

🎤 朝の会・帰りの会での一言

難易度:

短い一言でも、全員が自分を見ている状況での発言は大きなプレッシャーです。

💬 友達・先生への話しかけ

難易度:

自分から声をかけることへの恐怖から、友人関係が作りにくくなることがあります。「遊ぼう」の一言が言えずにいる子は少なくありません。

🍱 給食のおかわり・係活動

難易度:低〜中

日常のちょっとした一言が必要な場面でも、緊張して声が出にくくなります。

🧑‍🤝‍🧑 グループ発表・劇・合唱

難易度:

順番に話す場面では「次は自分の番」という緊張が積み重なりやすいです。役のセリフを覚えていても、本番で声が出なくなることがあります。

📞 電話・出欠確認

難易度:

電話での返答や、校内放送でのやりとりは特に吃音が出やすい場面です。

2. 吃音が学校生活に与える統計的影響

約70%

吃音のある学齢期の子どもがからかいや社会的排除を経験するとされています(Blood & Blood, 2004)

56%

吃音のある子どもの保護者が「子どもの学校参加に影響が出ている」と回答(Langevin et al., 2010)

3倍

吃音のある子どもは、吃音のない子どもに比べてネガティブなピア評価を受けるリスクが約3倍(Langevin, 2009)

📚 Blood & Blood (2004). "Bullying in adolescents who stutter." Journal of Communication Disorders. / Langevin (2009). "The Peer Attitudes Toward Children who Stutter Scale."

3. 担任の先生へ伝えたいこと——具体的な伝え方

まず先生に「吃音は本人の意志でコントロールできないもの」と理解してもらうことが最も重要です。懇談会・電話・手紙など複数の方法がありますが、文書で残す方法が後々の確認にも役立ちます。

伝えるべき基本情報

吃音は「どもり」という話し方の特性で、本人の意志や努力でコントロールできない
「ゆっくり話して」「落ち着いて」という声かけは逆効果になることが多い
焦らず最後まで待つことが最も大切なサポート
音読や発表では「強制しない」「代替手段を用意する」配慮が有効
クラスでからかいがあれば早めに教えてほしい

ゆっくり・最後まで聞く

先生が落ち着いて聞く姿勢を見せることで、クラス全体の雰囲気が変わります。子どもは先生が「待ってくれている」と感じることで安心して話せます。

音読は「事前練習」の機会を

「練習した箇所を読む」「一緒に読む(ユニゾン)」「読む行数を少なくする」など、成功しやすい形を作りましょう。

発表の強制をしない

「手を挙げたくなる雰囲気」を作ることが長期的によい結果につながります。「当てない」という配慮より、「挙げたら確実に待つ」という信頼関係が重要です。

クラスでの吃音の理解教育

保護者と相談の上で、「みんな話し方は違う」という多様性の授業を行うことも有効です。本人の同意が必要です。

「ゆっくり話して」と言わない

本人はすでに全力で話しています。急かしたり、言葉を補うのはプレッシャーになります。

公の場で吃音を指摘しない

他の児童の前での指摘や笑いは深く傷つきます。個別に、共感を持って話しましょう。評価(成績)に吃音を含めないことも重要です。

4. 先生への手紙テンプレート

担任の先生に初めて伝えるとき、口頭では伝えにくいこともあります。以下のテンプレートを参考に、手紙やメールで伝える方法も有効です。

○○先生

平素よりお世話になっております。△△(学年・氏名)の保護者です。

子どもには「吃音(きつおん)」という話し方の特性があります。吃音は、言葉が繰り返されたり、詰まったりする状態で、本人の意志や努力でコントロールできないものです。

先生にお願いしたいことがございます:

  • ・話し終わるまで穏やかに待っていただけると助かります
  • ・「ゆっくり話して」「落ち着いて」という声かけは、本人への負担になることがあります
  • ・音読や発表では、事前練習の機会や代替方法をご検討いただけますと幸いです

吃音についての詳しい情報は、国立障害者リハビリテーションセンターや吃音・流暢性障害学会のウェブサイトにもございます。

ご不明な点があればいつでもご連絡ください。どうぞよろしくお願いいたします。

(保護者名)

5. 合理的配慮を求める方法

法律的な背景

2016年施行の「障害者差別解消法」により、公立学校では障害のある子どもへの合理的配慮の提供が義務化されています(私立学校は努力義務)。吃音は「発達障害・コミュニケーション障害」として合理的配慮の対象になり得ます。

吃音に関して申し入れできる配慮の例

音読・発表

音読の順番・方法の変更(読む行数を減らす、事前練習機会の提供)
発表を文章で提出する代替方法の許可
一斉音読ではなく個別音読への変更

評価・成績

話す力の評価に吃音を含めない(内容で評価する)
発音・滑らかさではなく、伝達内容で評価

環境

当てられる際の事前通知
グループ発表でのサポート役(書記・資料担当など)の調整

6. 音読・発表での具体的なサポート方法

ユニゾン読み(一緒に声を合わせて読む)

簡単

先生や保護者と声を合わせて読むと、吃音が出にくくなります(合唱効果)。授業での導入事例もあります。

シャドーイング(音源に続いて読む)

やや簡単

CDや動画の読み上げに続いて読む方法。自分のペースではなく「音源のリズム」に乗ることで流暢さが増します。

事前練習→本番

中程度

「今日の音読の箇所を放課後に一人で読んで練習する」ことで、本番の予期不安が下がります。先生と「練習した箇所だけ読む」と約束するのも有効。

代替発表(書いたものを読む・スライド発表)

状況による

口頭発表の代わりに、書いたレポートをそのまま評価する形。完全な代替は本人の「逃げ場」を作るため長期的には回避行動を強化しますが、急場しのぎとして有効。

7. からかい・いじめへの3ステップ対応

吃音のある子どもは、「まね」「笑い」「「なんで話せないの?」」といったからかいを経験することがあります。研究では吃音のある学齢期の子どもの約70%がいじめを経験すると示されています(Blood & Blood, 2004)。

STEP 1

子どもの話をよく聞く

「あなたは悪くない」「話してくれてありがとう」と伝えることが最優先。解決策より先に共感を。「何があったの?」より「どんな気持ちだった?」から入ると話しやすくなります。

STEP 2

担任・管理職に相談する

「クラス全体で理解を深める時間を作ってほしい」と具体的に伝えましょう。記録(日時・内容)を残しておくことも重要です。担任に相談しにくい場合は教頭や校長、スクールカウンセラーへ。

STEP 3

専門家(スクールカウンセラー・ST)に相談

子どもの心理的なケアのためにも、スクールカウンセラーや言語聴覚士に相談することを検討してください。いじめへの対処スキルを言語聴覚士と一緒に練習する方法もあります。

8. 学年別のポイント

小学校低学年(1〜3年)

「吃音は恥ずかしいことじゃない」という認識を早めに作る時期。先生との連携が最も効果的で、担任が理解者になることでクラス全体の雰囲気が変わります。本人が吃音を意識しすぎない環境作りが優先。

小学校高学年(4〜6年)

友人関係が複雑になり、吃音への意識と恥ずかしさが強まる時期。「自分は吃音がある」という自己認識が出てきます。家庭での話しやすい環境維持と、本人の気持ちを言語化できる機会を作ることが重要。

中学・高校

本人が自分で先生に伝えるスキルが必要になります。就活・進路にも吃音の影響が出始める年代。「自分の吃音を説明できる」自己開示の練習を家庭でしておくと、学校での対応がスムーズになります。

9. よくある質問

Q. 吃音のある子どもの音読はどうすればいいですか?

A. 事前に「一人で読む練習ができる」環境を作ること、「読まなくてよい」ではなく「準備してから読む」選択肢を与えることが有効です。強制はせず、本人の意思を尊重しながら小さな成功体験を積み重ねましょう。ユニゾン(一緒に声を合わせて読む)も吃音が出にくい方法です。

Q. 担任の先生に吃音について伝えるべきですか?

A. はい、できるだけ早めに伝えることをお勧めします。吃音の基本的な知識(本人の努力不足ではない、急かすと悪化しやすいなど)を共有することで、先生の対応が変わります。学校のスクールカウンセラーや特別支援コーディネーターに相談するのも有効です。

Q. 吃音のある子どもがいじめられた場合はどうすればよいですか?

A. まず子どもの話をよく聞き、「あなたは悪くない」と伝えることが最優先です。その上で担任・管理職に相談し、クラス全体への吃音の理解教育を求めることも一つの選択肢です。専門家(スクールカウンセラー・言語聴覚士)への相談も検討してください。

Q. 学校で合理的配慮を求めることはできますか?

A. はい。2016年施行の「障害者差別解消法」により、公立学校では合理的配慮の提供が義務化されています(私立学校は努力義務)。吃音に関しては「音読を別の方法に変える」「発表の順番を調整する」「評価基準に吃音を含めない」などを学校に申し入れることができます。

Q. 先生が吃音への対応に非協力的な場合はどうすればいいですか?

A. 担任以外に相談する選択肢があります。スクールカウンセラー・特別支援コーディネーター・教頭や校長への相談のほか、教育委員会への相談窓口、言語聴覚士からの学校への情報提供なども活用できます。記録を残しておくことが重要です。

Q. 中学・高校での吃音サポートはどうなりますか?

A. 中学・高校でも合理的配慮の申請は可能です。ただし学年が上がると本人が自分で先生に伝える必要が出てきます。「どんな場面が苦手か」「どんなサポートがあると助かるか」を本人が言語化できるよう、家庭で一緒に準備しておくことが大切です。

Q. クラスメートに吃音のことを話すべきですか?

A. これは本人の意思を最優先にしてください。「話したい」という子には、「吃音ってこういうことなんだよ」と説明する練習を家庭でしておくと良いです。先生を通じてクラス全体に伝える方法もありますが、必ず本人の同意を得てから行ってください。

🐸

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